画像 【北京=矢板明夫】日本政府が菅直人首相の名前で11日、中国共産党の機関紙、人民日報などに寄せた東日本大震災の支援に対する感謝のメッセージが、中国のネットで不評を買っている。
約400字のメッセージの中に、「海外の友人たち」「国際社会からの協力」といった表現はあるものの、感謝される対象として「中国」の2文字が見当たらず、「中国をバカにしているのでは」といった反発が起きている。
大手ポータルサイト「捜狐」には11日正午までに約2万3千件の書き込みが殺到。「困ったときはお互いさま」といった素直に受け止める意見が一部にあるものの、「なぜ中国への直接の感謝の言葉はないのか」といった不満がほとんどだった。中国が官民を挙げて海外の自然災害に支援するようになったのは、経済的に余裕が出てきたここ数年のことで、国民は援助される国の反応を非常に気にしている。
メッセージに中国の国名がないことで、「自分たちの援助を日本は重要視していない」との印象を持たれてしまい、傷ついている人も数多くいるようだ。
また、メッセージのタイトルは「絆(きずな)」を中国語に直訳した「紐帯」となっていることに対しても「意味がわからない」との反応もあった。「絆」は日本語で「人と人との離れがたい結びつき」との意味だが、中国語では地下鉄も橋も紐帯と表現するように、単なる人やものをつなぐものとの意味に過ぎず、日本語の「絆」が持つ温かみはない。
メッセージに対する批判的なコメントがあまりにも多かったためか、11日午後から各大手のポータルサイトで、この件に関する書き込みがすべて削除された。書き込みは国民の対日感情の悪化につながることを警戒した中国当局による指示があったとみられる。
震災1カ月に合わせて出された感謝メッセージ。各国共通の文面ではなく、それぞれの国の現状と文化を踏まえ、掲載される紙面に合わせて国名をそれぞれ入れるなど、日本政府はその内容をもっと工夫する必要があった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110411-00000627-san-soci