画像さいたま市で20日、男性2人と女性1人の遺体が見つかったアパートの室内や冷蔵庫の中に、食べ物がほとんどなかったことが埼玉県警への取材で分かった。一方、さいたま市の調査で、この部屋に入居していた60代の夫婦と30代の息子の住民票登録が同市にないことも判明した。
アパートの所有者などによると、アパートは3階建てで9部屋あり、3人の遺体が見つかった1階の部屋は6畳と4畳半の和室のある2Kで家賃は共益費を含め6万3000円。01年2月に男性が1人で入居した後、妻、息子が同居するようになったという。
県警によると、この部屋に入居していたのは60代の夫婦と30代の息子の3人。息子は建設関係の仕事を個人でしていたという情報があるが、確認できていないという。3人がそれぞれ横たわっていた布団のそばにはコップや嘔吐(おうと)物の入ったバケツがあった。部屋にはあめ玉が数個と1円玉が数枚あったが、冷蔵庫は空だった。電気やガスは止まり、水道だけが利用できる状態だった。
さいたま市によると3人は住民票の登録がなかった。住民票の登録がなくとも生活保護や介護サービスを受けることは可能だが、3人は生活保護は受けておらず、同市も把握していなかった。国民健康保険は住民票がある自治体で保険料を支払わないと保険証が使えなくなるという。3人は自治会にも加入していなかった。
昨年末、妻から借金を申し込まれたという近所の男性は「アパートの大家か民生委員のところに行ったらいいよと場所を教えたが、『いいです』と言って帰っていった。そんなに困った様子には見えず、むしろ明るい感じだった。まさかこんなことになるとは」と悔やんだ。
近くの主婦(47)によると、作業着姿の夫と息子が荷台に工具を積んだ軽乗用車で出ていたという。約1年前からは息子が1人で出かけるようになり、昨年11月ごろには駐車場から軽乗用車もなくなったという。
現場はJR上尾駅から東に約2.5キロで、周辺に工場や畑が点在している。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120221k0000e040142000c.html